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BL小説「虜」
4
「暫く見ない内に、お前も成長したな」

そう言って、村長はフィラムの頭を撫でた。

「…お前は…あの方に会いたいか?」

そう聞かれたフィラムは。
「はい…会いたいです。その人が本当に、お母さんの…愛した人なら、会いたいです」
と、答えた。

「そうか…ならば、明日、朝早くから、あの方が来るのを墓の前で待て」
「明日ですか?」

「明日は、お前の母親の月命日。あの方は月命日にも、朝早くに来て、花を手向けていかれる」

「分かりました」

「寝る場所を用意したから、今日は泊まってゆけ」

優しく笑って、村長は言った。

「ありがとうございます!」
「お前の祖母の家は手入れはしているが、長く人が住んでいないから、人が寝るには、向かないからな。ゆっくりと過ごせば良い。もうすぐ、夕食も出来るだろうから、先に行って、ナターサを少しだけ手伝ってやってくれ」

「はい!」

ハキハキとしたその返事に、また村長の顔に笑みが浮かべて、心の中で。


(カーツ。お前の子は元気に、そして美しく成長しているぞ…)


そう思った。





だが、既に運命が動いている事をこの時の村長もフィラムも、知るよしもなかった。





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あきゅろす。
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