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BL小説「虜」
3
「やがて、カーツの噂は国を越えた。そして、その優れた腕を見込まれ、ガーメイルでも指折りの有名な店に引き抜かれたのだ。その店には、ガーメイルの数多の貴族達が顧客となっていると、聞いた事がある」

そこまで言うと、村長は悲しげな顔をした。

「………。お前の母親、カーツは美しかった。こんな田舎であっても、あの容姿のせいで、カーツは苦労していた。都市で働けば、その苦労も大きなものだった筈だ。身分が低い者の美しさは、災いしか生まない。……だが、カーツは愛しているから、命を賭けて産んだのだと…そう言っていた。人とは不思議な生き物だな」

「村長?」

「私はあの方が、お前の父親である可能性があると…そう考えている」
「えっ?」

村長は、フィラムの顔を見て言った。

「フィラム。お前も、母親と同じく苦労するだろう」





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