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BL小説「虜」
剣、その意味と役割
あの後、アレクシアは話し込む皆の輪から離れて、また考えていた。


(そう言えば、母さんが言ってたなぁ。主に忠義を捧げる事は、最大の喜びだってさ)


この二年の間、双子は、それぞれに皇太子アリファエルの思考や資質を肌で感じていた。


そして、双子の兄アレクシアは決断した。

皇太子の為に、今後の自分の生涯を捧げると。



しかし、弟のアレクシアの考えは、違っていた。


アレクシアは、リアーツ家の者である。
二年前の顔合わせの時から、ある事を思ってきた。


生まれた時から、皇帝の側近となる事が決まっているガウディース家の者である兄クレアシアとはアレクシアは違う。



アレクシアだって、ただ一人の主に仕えたい。


だが、アレクシアは己すら捨てられる程の守りたいと望む相手に、まだ出会えていない。


「アレクシア。俺は今でこそ、太皇太后様の元に居るが、昔はある方の剣だった。あの方を守れる剣であれた喜びは、今でも胸にある。だが、この母はなその方を守りきれなかった。アレクシア、お前は選択を間違えるなよ」


悲しそうに、そう言った母親の顔をアレクシアは、忘れられない。



(皇太子殿下の選んだ方。その方は、リアーツの忠義を捧げるに値する方だろうか?)






主なき剣には鞘はなく、刀身を錆びさせる。



主と剣。




二人が出会うまで、後少し。







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