BL小説「虜」
突然の願い
「3日間、休みが欲しい?」
フィラムの突然の願いに、ハービィは少し驚いた。
「うん、ダメかな?」
「何で、休みたいんだ?」
当然の質問。
この二年、フィラムは決まった休み以外で、仕事を休みたいと言った事が無い。
なのに、いきなり休みたいと言う。
だが、その理由はすぐに分かった。
「二人の墓参りに行きたいんだ」
「二人の墓参り?」
「うん、二年も、ばぁちゃんとお母さんの墓参りに、行ってないから…ダメ?…」
悲しそうな顔を向けた。
ハービィは、フィラムの頭を撫で。
「大丈夫だ。その理由なら、休んでも良いぜ」
と、言った。
二年も墓参りをしていないのなら、墓参りの為に、休んでも、誰も否とは言わない。
「本当っ!?」
「あぁ、行ってこい。ただ明日から、すぐにって訳にはいかない。許可を取り付けるにも、2日は掛かる。そこから仕事の担当を振り分け直すから、一週間は待って」
「うん!行けるなら、待つよ」
嬉しそうに、フィラムが笑う。
その笑顔に、ハービィは、自分自身も嬉しくなる。
可愛い弟分の滅多にない願い。
フィラムの祖母と母が埋葬されている墓がある村に行くには、3日では帰ってくるのに、ギリギリの移動時間。
兄貴分としては、余裕を与えてやりたい。
頭の中で、素早く策を練る。
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