BL小説「虜」 2 しかし、フィラムには今も、父が生きているのか、既に死んでいるのか、それを確かめる術がない。 生きているなら、この広い世界のどこかに、父はいるのだろう。 もし、父が死んでいたなら、父は母に会えただろうか?。 フィラムには、それらを空想する事しか、出来ない。 今も、母の墓には、あの花があるのだろうか?。 もう二年も、村には帰っていない。 確かめに、行ってみようか?。 そう思うが、なかなか思うようにはいかないだろう。 単なる下働きに、二日以上の休みなんて許される筈はない。 と、ここでフィラムは。 「…ハービィなら、何とかしてくれるかな…」 そう考えた。 下働きの年長者達と若い下働き達の調整役の様な事をハービィはしている。 ハービィを介せば、休みも、どうにかるだろう。 そう考えたフィラムは、ハービィに相談する事にした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |