[携帯モード] [URL送信]

BL小説「虜」
フィラムの日々
あの出会いから、二年。

今も、フィラムは、城で下働きとしての生活を元気に送っている。

9才になったフィラムの主な仕事は外壁の掃除や馬小屋の掃除、調理場の竈の煤払いといった裏方の仕事。

二年の時間は、磨けば光る原石が自ら光るまでになっていた。
まだ9才ながら、フィラムの容姿は、花がほころぶ様に、可憐な色を放ち始めていた。

フィラムの幸せの為には、その光は隠さなければならない。

フィラムの未来を心配した年長の下働き達。

彼等は悲劇など、見たくはないし、悲劇の話など聞きたくもない。


フィラムは、生まれて数か月で、母親を亡くし、父親を知らず、唯一の祖母も、幼くして亡くしていたが、明るさを失わず、その人懐っこい性格と、きめ細かな気働きが出来る為に、城の年上の下働き達には可愛がられ、数少ない年下の下働き達からは、その優しさ故に、慕われている。


だからだろうか、年に関係なく、城の下働き達は、フィラムを守ろう。

と、そう誓い合った。




[*前へ][次へ#]

7/42ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!