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BL小説「虜」
皇太子から見た皇帝
アリファエルにとって、皇帝とは父親というよりも、未熟な自分を導いてくれる大切な存在である。

二年前までは、皇帝に必要とされる事がアリファエルにとって、重要だった。

だが、二年という時間で、アリファエルは少し変わった。

今、アリファエルにとって、重要なのは力を持つ事。

己の願いを叶えるには、強くなければならない。


そして、アリファエルは、この二年で、皇帝のある一面を知った。



本当の皇帝は、不器用な人なのだと、知った。


死者を愛し、死者に感情の全てを捧げた人。


妻だった女も、その子供も愛せない。


皇帝は、そんな自分に、人知れず苦悩している。

苦悩するからこそ、愛せないなりに、皇帝はアリファエルを気遣ってきた。

実際、この二年、皇帝は、アリファエルを立派な統治者とする為の教育に力を入れている。


アリファエルは、この二年で、皇帝に強い憧憬を感じた。


皇帝の様に、民から慕われ、家臣達からは、頼られる存在になりたい。


そう強く感じていた。


皇帝とアリファエル。


二人は、親子としては、歪な関係なのかもしれない。


だが、アリファエルは思う。


こんな関係も悪くなはいと。

今の自分に必要なのは、親ではない。

未熟な自分を導いてくれる存在が必要なのだ。


皇帝は、父親としては、ダメな父親。

しかし、皇帝は統治者としては、素晴らしい人。

アリファエルは、皇帝から皇帝としての教えを受ける。


二人の関係は、親子の縁で繋がれたものではなく、師弟の様な関係。


そんな中で、アリファエルは、皇帝の強さを知る。


不器用でありながら、その強さが皇帝を皇帝として存在させている。



その強さの一部でも、自分にあればと。

アリファエルは考える。


まだ自分には、学ぶべき物事がたくさんある。


力を付け、立場を確立し、己の望みを叶える。


それがアリファエルを動かしている。





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