BL小説「虜」
時が経つのは早くて
あの出会いから、二年の時が経った。
この二年で、アリファエルは皇太子としての地位を確固たるものにしていた。
唯一の世継ぎでありながら、廃妃を母に持つというハンデは大きい。
アリファエルの他に子供が居れば、アリファエルは皇位継承権を失っていただろう。
実際、新たな皇妃や側室を迎える案が出され、廃妃を母に持つ子供よりも、新たな子供をと周りは強く皇帝に進言していた。
だが、皇帝はその案を承諾しなかった。
少しだけ、不憫な子へ向けた哀れみを抱きながら、皇帝は決めたのだ。
廃妃を母に持っていても、才能豊かなアリファエルならば、皇帝となるのに問題ないと断じた。
それに加えて、普段は表立って、口を出さない太皇太后がアリファエルを擁護した事も大きな事だった。
アリファエルが太皇太后の後ろ盾を得た事により、アリファエルを排除しようという勢力は力を失った。
この二年間、自分自身で、未来を切り開く為に、アリファエルは行動してきた。
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