[携帯モード] [URL送信]

BL小説「虜」
3
マリアテレーズへ静かに頭を下げ、側から離れた。




その足取りに、ブレはない。


今から、誰に何を飲ませに行くか、それを理解していながら、ガウスは歩みを止めない。








間違いなく、受け取った小瓶の中身は、毒だろう。


それを飲ませるという事は、死者を出すという事。


だが、ガウスはマリアテレーズの命令に背く事はない。


死を自分が運ぶ。


その事に、恐れはない。





ガウスは、今までの人生、清濁併せ呑んで生きてきた。


他人の命を絶つ。


そんな事は、何も今回が初めてではない。



勿論、強要された訳ではない。



彼は、自らの意志で、その手を汚してきたのだ。




ただマリアテレーズの為だけに、彼の人生はある。



守るべき主を守れなかったという過去が彼を変えた。


主であるマリアテレーズが修羅の道を歩む事を決めた時から、彼は絶対に守るのだと決めた。



何があっても、側に仕え続けると。


そう心に、深く誓ったのだ。









[*前へ][次へ#]

7/9ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!