BL小説「虜」 変化 ーどんな幸せな日々にも、別れは訪れるー 小さな二人にも、別れの日が近づいていた…。 だが、まだこの時は、そんな事を知らない二人。 その夜も、いつものように二人は会っていた。 フィラムはアリファエルの様子に、違和感を感じた。 (…アリー…何か…あったんだね…) フィラムは、ここ最近アリファエルの様子がおかしい事に気づいていた。 この時のフィラムは、アリファエルの生母アデリアーデが廃妃となった事など知る由も無い。 だが、そんな事を知らずとも、アリファエルに何かあった事だけは感じ取れた。 「アリー」 「ん?何だ」 「はい、コレ…あげる」 そう言って、フィラムが差し出した物。 それは…。 「これは…」 「縫い方を教えてくれた人がいて…試しに…縫ってみたんだ」 フィラムの手にあったのは、赤い花の刺繍がされた布。 「ユフィリアの刺繍か…これを素人が縫うのは難しかったのではないか?」 花の刺繍の中でも、ユフィリアは、花弁が多く素人が縫うには、些か難易度が高い代物に、アリファエルは少し驚いた。 それに、フィラムは少しだけ恥ずかしげに言った。 「…ん…むっ…難しかった…けど…ユフィリアの花言葉が…ピッタリだったから…」 「あっ…そうか…ありがとう…」 ーユフィリアー その花言葉は《貴方を想う》 [*前へ][次へ#] [戻る] |