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BL小説「虜」
2
彼は先客が居た事には、驚かなかったが、その後に見た光景に、珍しく動揺した。





軽やかな羽ばたきの音ともに、水辺へと降り立った一羽の鳥。


その鳥は、歌に惹かれる様にして、歌を歌う人物の側に近付き。

「キュルルッー」

と、一鳴きしたかと思えば、その人物の隣へと移動し、子兎を頭で押しのけ、その膝に頭を乗せた。

歌を歌っている人物は、少しだけ驚いた顔をしたが、すぐに歌を再開した。





(……あのカリギュラが……人に懐いた…)




カリギュラ。



それは、人々から神鳥と呼ばれる事もある鳥の名。



その身体は、緋色の羽に覆われ、その鳴き声は涼やかな音色を持つ。



この鳥は滅多な事では、人の気配のする場所には近付かず、人の側近くに座り込む事など絶対にしない筈だ。



なのに、そのカリギュラが今、彼の前で人の隣に座っている姿は、驚くべき事。


しかも、人の膝にカリギュラが頭を乗せた状態など、今だかつて見た事のある人間は居ない。




(…神鳥カリギュラが…心を許す程の人間……)


とても、珍しい光景を目にしながら、彼の心は何処か上の空だった。





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あきゅろす。
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