BL小説「虜」
〜星詠みの血筋〜
満天の星空の下。
フィルデガルドは、一人で、星と対話していた。
だが、数分後。
「…聞こえない」
という言葉とともに、深いため息を吐きだした。
「…どうして、聞こえないし、見えないの?」
そう。ここ最近、どういう訳だか、星はフィルデガルドへ何も語らなくなっていた。
前までは、精神を集中させれば、頭の中にうるさいぐらいの情報が流れ込んでいた。
しかし、フィルデガルドはすぐに、笑みを浮かべ、呟く。
「あぁ…でも、見えないし、聞こえないというのは何て、静かな事なのだろ」
聞こえない事を憂いていても、仕方ないと、そうフィルデガルドは思う事にした。
それよりも、物事の分別を理解するより先に、色々な事が、聞こえていたから、こんなに静かな時間は初めてだった。
「夜空は、こんなにも綺麗なものだったのですね。そして、星も美しい」
フィルデガルドは、そう言って、頭上に輝く星を見上げた。
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