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BL小説「虜」
2
その手に触れて、その温もりを感じる度。


もっと触れたい。

もっと、その温もりを感じて居たいという欲望が増していった。


貪欲になってゆく自分をアリファエルは、感じていた。












会話が無くても、気まずくなったりしない空間。


今までは、そんなモノはないと思っていた。



でも、フィラムと居る間は、手を触れ合っているだけでも、良かった。


いつからか、二人の間には、会話をしなくても、繋がる何かが、出来上がっていた。



この瞬間が、永遠になれば良い。


時間なんて、止まってしまえば良い。


このまま別れなど、訪れなければ良い。


そう考える自分が、自分の中に居る事をアリファエルは、気付いていた。



今までは、自分の生まれを厭う気持ちなんて、感じた事もなかった。


でも、フィラムという存在に触れて、フィラムという存在を知る度。


アリファエルは、今までの自分とは違う自分に向き合う。




そして、それを嫌だと思わない自分。



フィラムに出会ってから、アリファエルは初めての感覚、初めての感情を抱いた。




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あきゅろす。
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