BL小説「虜」
苦悩
アリファエルの周りに居る大人達。
彼等は皆、様々なしがらみに縛られながらも、それを受け止め生きている。
だが、その代償として、時には自分の心を捨て、時には自分の心を偽るのだろう。
ならば、いつか…。
自分も、自分の心を偽らなければいけない時が来るのだろうか?。
そう問いながらも、アリファエルは、分かっていた。
自分の望みを通す事の難しさ。
相手に自分の側に、居て欲しいと望む事の難しさを分かっていた。
自分という存在。
それは…。
ただ一人の人間を何の損得も無しに、望めない事を意味していて…。
自分の隣に立つ相手には、それなりの身分が必要なんだと、分かっていた。
幾ら、自分が身分なんて関係ないと言った所で、そんな事は、あの場所では通じない。
だって…。
自分という存在は、次期皇帝という立場にある。
今までにも、自分の意志を通す事の難しさを痛感してきた。
だからこそ、最近のアリファエルは、自分の立場を疎ましく感じるようになっていた。
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