小説「召喚と召還の結末」 憎悪と崇拝 22年前、カリスはまだ二歳だった。 だが、はっきりと覚えている事がある。 あの日、村は紅い炎で焼かれた。 その炎は村を襲った魔物ではなく、村人を燃やしたのだ。 あの炎が優しかった母も、強くたくましい父も焼いたのだ。 リーアとカリスが与えた痛みは、戦いを知る者にしたら、微かな痛みの筈だ。 なのに、そんな程度の痛みで、地に倒れている男。 こんな矮小な男が、あの悪夢を生んだ。 強い怒りがカリスの胸に込み上げる。 「グゥヴっ…」 まだ痛みに、呻くだけのロックウェル。 カリスは、そんなロックウェルを見て、憎悪に彩られた表情を顔に浮かべ。 「22年前、まだ私は二歳の子供だった。無力な子供、そんな私が…どうやって、あの火の海から生き残ったか…その理由が分かりますか?」 と、聞いた。 [*前へ] [戻る] |