小説「召喚と召還の結末」
2
対する王は、深呼吸をした後。
「一つ聞く、それは…復讐の為か?」
と、ここにきて、初めて、ブラックの目を見ながら、強い口調で聞いた。
すると、ブラックは。
「あぁ、それもあるさ…俺に復讐する権利が無いと言うつもりか?」
と、挑戦的な笑みのまま答えた。
「くっ…」
ブラックは、続けて。
「この男に、恨みを持つ者は俺以外にも居てな。こいつに、復讐すると言っている」
と、言いながら、ロックウェルを睨みつけた。
すると、睨まれたロックウェルは、蒼白し。
「ひっ、ゆ…許してくれぇ…」
と、許しを口にした。
だが、ブラックは嘲笑を浮かべ。
「お前は、自分が許される存在と、そう本当に思うのか?」
と、ロックウェルに聞いた。
「そ、それは…しかし…ヒィ!!」
最後まで言わさず、ブラックは剣をロックウェルに向けた。
「俺は、お前の命乞いなど、聞きたくない。同じく言い訳も聞きたくない。俺にとって、お前は罪人だ」
強い口調で、そう言った後、ブラックは王に視線を向ける。
「さて、王よ。どうする?」
聞かれてはいるが、答えなど一つしかない。
ブラックからも、ロックウェルからも、視線を外して、王は言う。
「ロックウェルの…ロックウェルの生死も…ブラック。そなたに…委ねよう」
その瞬間、ロックウェルは恐怖の悲鳴をあげ、絶望した。
対して、ブラックは、嘲笑を浮かべ。
「実に、良い判断だな。では、行こうか」
そう言うと、ロックウェルに剣を突きつけたまま歩き出した。
そして、玉座の間から出る時、ブラックは王へ。
「王。俺は変わった。お前が知る‘僕’は、もうこの世には居ないと思え」
と、宣言するようにして、背を向けた。
その背を見ながら、王は小さく嗚咽をもらす。
「‘リュウ’…どうして、どうしてなんだ…」
だが、その問いに答えをくれる人間は居ない。
大切な友との断絶を王は感じていた。
23年前からの運命の糸が今、切れた。
弱かった存在は消え去り、無知のままの王が、そこにはいた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!