小説「召喚と召還の結末」
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‘シィ’のそんな姿を目にした‘リュウ’いや、ブラックは今、自分の前に居るのは、この国の王ではあるが、間違いなく同時に無知なまま大人になったあの‘シィ’なのだと、改めて思った。
怒りと少しの懐かしさが心に湧き上がってくるのを感じる。
時間が経過しても、彼、‘シィ’は根本的に、何一つ変わってなどいないのだろう。
だが、自分はどうだろうか?。
自分は変わった。
生き残る為に、自分は、‘リュウ’という弱い存在を捨て去り、新たな自分を得た。
この世界では、弱さは罪であり、無知もまた罪。
「弱さも、無知も、この世界では罪だ。何の言い訳にもならない」
「俺は、俺の弱さを捨てた。生き残る為に、弱い自分を捨てたんだ。その事を後悔はしてない」
その強い言葉と、強い眼差しに、‘シィ’は動揺した。
今、目の前に居るのは、懐かしい筈の友。
だが、そこには、弱かった彼は居ない。
そこにいるのは、強い意志を持った男。
かつての面影など、まるで無い友。
何がどうなっているのだろう?。
驚きと不安が‘シィ’いや、王を襲う。
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