小説「召喚と召還の結末」
少年は
父親からある程度まで、離れると息子であるグレイブは、何処なら、父親の言う安全な場所だろうか?と、自分にとっての安全な場所探しを開始した
普通、子供が一人で見知らぬ国に居るのは、不安に感じるものだろう。
しかし、グレイブに関しては、そんな不安はない。
何故なら、絶対な自信があるからだ。
自分が、何処に居ても、父親は必ず、自分を見つけてくれるという自信が。
段々と、日が暮れだし、夕闇が街を包みはじめて、人々は各々の家に帰って行き、辺りに人影がまばらとなった。
一人きりの道のり。
だが、それでもグレイブに、恐怖はない。
歩く場所位置が、光りであろうが闇であろうが、グレイブには、あまり関係はない。
彼の今の目的。
それは安全の確保。
それさえ、確保出来たなら、大丈夫だという確信があった。
だか、父親から離れて、数時間が経過した頃、グレイブは困っていた。
「む〜…ここ、何処ぉ?」
どうやら、ただ闇雲に歩いた結果、迷子になった様だ。
「ん〜…まぁ、いいや……休憩しよっと」
言うと、その辺にある木の箱の上に座り込んだ。
「まぁ、このまま歩いてたら、どっかには着くよね〜」
案外、楽天的な考えを持つグレイブである。
そして、空を見上げた。
すると、そこには。
「おぉ〜…キレ〜な星」
満天の星々が輝いていた。
それから暫くの間、グレイブは時間を忘れ、自然が、繰り広げる天体ショーに魅入った。
しかし、グレイブの耳に、何処からか耳障りな音が、聞こえてきた。
「…ん?あれぇ〜…?」
微かに聞こえる人の悲鳴と破壊音。
関わっちゃいけない類の音だなと、グレイブは聞いている内に、分かっていた。
でも、好奇心が人一倍あるグレイブは、気になりだしたら止まらない。
静かに音の発生源へ近づいて行った。
そして、そこには、やはりというか、何と言うか。
父親が、側に居たら絶対に、強制で、あの世へご招待させられるだろう行為を実行中の馬鹿の群れがあった。
普通は、それを大人の集団と、言うのだろう。
だが、グレイブの中では、今の様な行為を実行に移すモノは、人間とは呼ばない。
従って、取る行動も。
「そこの馬鹿の群れ、何やってんの?」
と、なる。
勿論、言われた方は。
「アア゛?…んっ!!おい、カモが増えたぞ」
であり。
「ボクゥ〜…こんな時間に、外へ出ると、俺達みたいな悪い奴に、捕まるって、ママに言われなかったかなぁ〜?」
と、なる。
下品さ全開で、欲望丸分かりの五人の男達。
彼等の足元には、彼等に捕まったと思しき二人の人間。
どうやら、簡単に状況を分析すると、輪になり一人を嬲りモノして、もう一人に、それを見続けさせるという行為を実行中だったのだろう。
捕まっている片方が、必死に、グレイブに来るなと、目で無言の訴えをしてきた。
痛々しいその姿に、プチンと、グレイブの中で、何かの線が切れる音がした。
そして、それは男達が、グレイブに近づこうとして、起きる。
ードンッ!!ー。
という音ともに、突風が巻き起こり、男達は吹き飛ばされた。
そして、次の瞬間。
レイブ以外の人間は有り得ないモノを目にする事になる。
≪お前等ごとき虫けらが、我が主に、その汚れた手で触れるでないわ≫
黒光りした大きなフォルムと、鋭い爪に鋭い牙。
何よりも、グレイブを守るように広げられたその翼。
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