小説「召喚と召還の結末」
2
何故なら、この女。
セラスティーア・ベルグーダの食事は他者の血と肉。
特に、種族を問わず赤子の心臓は、大好物だった筈。
有り得ない。
だが、女は言った。
『今の私は、食欲よりも、愛が勝ってしまったの』
その顔には、今まで、見せた事もない程の慈愛に満ちた表情が浮かんでいた。
理解不能の事態とは、この事。
自分が知る限りで、この女が、子供を産んだ回数は十数回を超える。
だが、今の様な顔をして、赤子を抱きしめている姿を見たのは初めてだった。
≪セラスティーア。貴様が愛を語るか、笑えぬ冗談だな≫
『あらあら、良いじゃないのよ。この私が愛を語ったって』
コロコロと鈴を転がすような声音。
その魅惑的な姿は、赤子を腕に抱いていても、色あせない。
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