小説「召喚と召還の結末」
黒の惑い
初めて見た時、小さく儚いそれは少し力を入れるだけで、簡単に壊れてしまうと、思った。
「あうぅ〜」
だが、自分を怖がる事なく、自分へとそれは腕を伸ばす。
小さな温もり。
「きゃぉ〜」
鱗に覆われた身体を楽しそうに触る存在。
『可愛いでしょう?私の子なのよ』
そんな事は、言われずとも分かっていた。
この小さき者の纏う気。
それは今、自分の目の前に居る古き友たる女と同じ色。
だが、何かがおかしい。
この赤子には何か、違和感を感じた。
すると、女は平然と言った。
『この子は、人間との合いの子なの』
≪なにっ!?≫
今、この女は何と言った?。
人間との合いの子と言ったか?。
女に、大事そうに抱きしめられている赤子。
その安心しきった表情。
この女が赤子を愛しているのを感じた。
有り得ない状況が目の前にあった。
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