小説「召喚と召還の結末」 迷子の少年 とぼとぼと、暗い道を歩く、グレイブ。 「ピナ。あの人達、逃げちゃったね」 ≪主。済まぬな、我のせいだ…≫ 姿を消しているのか、ピナと呼ばれるそれの姿は辺りには見えない。 ただ反省しているらしい声のみが、辺りに響いた。 だが、グレイブはそんなピナに。 「んんー…ピナのせいだけじゃ無い気がする」 と、言った。 ≪そうか?≫ 「うん。何か、落ち着いたと思ったら、ピナと平然と喋ってたオレに、恐怖を向けてたし」 そう助けた筈の二人組は、最初こそピナという名のそれに、恐怖を抱き、動けずにいた。 だが、よくよく考えると、それを平然と従える少年に、更なる恐怖を抱いた。 そして、二人組は手に手を取って逃げた。 「馬鹿みたい」 ≪主≫ 「ピナは何も、悪い事してないし、オレだって、何もしてないのに」 母親という存在を知らないグレイブにとって、父親とその部下達、そしてピナという存在は大事な家族。 何故、ピナは怖がられるのか?。 その本当の理由をグレイブは知らない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |