小説「召喚と召還の結末」
2
「パース」
「う?」
「良いか?よく聞け。今から、カリスの居る場所に行ってこい」
「カァス?」
「そうだ。カリスの所へ行って、遊んで来て良いぞ」
そう言われた瞬間、パースの雰囲気が変わった。
口から涎を垂らさんばかりに、嬉しそうな顔をして、今にも飛び出して行きそうになる。
すぐさま、ブラックは。
「いぃ〜くぅ〜」
その首を押さえ込み。
「まぁ、待て。遊んでも良いが…余計なのは殺すな」
と、念を押した。
途端、パースはぐずりだした。
「ゔぅ〜ぁ゙ぁ〜」
彼等に、人を殺すなという事は、普通の人間に、食事をするなと言っているのと同じ事だ。
故に、ブラックは。
「パース。カリスの居る場所に居る奴らを生かしておくと、倍の人間を後で、殺せるぞ?どうする?」
と、餌をちらつかせる。
「うぅぅ〜…がぁんしりぅ……」
途端、ダラダラと、流れ出る涎を拭いもせず、そう答えた。
戦狂いの彼等とて、我慢が、利かない訳ではない。
ただ、我慢をした後に、更なる喜びを得る事を知らないから我慢をしないだけなのだ。
だが、ブラックの手綱捌きの効果か、今は彼等も、少しなら我慢が利く。
だからこそ、ブラックはパースを行かせる。
「よし、行ってこい」
「あぅ〜」
これで、サザーランは動かない訳にはいかないだろう。
もう待ってやる事は、出来ない。
自分達は、これ以上は待てない。
「さぁ、サザーランの王。お前は、覚悟を決めるのか?それとも、滅ぶのか?どちらか一つを選ぶが良い」
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