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小説「召喚と召還の結末」
戦狂い
一方。


今だ、門の前に陣取り、城からの返答を待つ傭兵達。

手持ちぶたさの中。
「ねぇ〜…団長…おぉれぇ〜…ひぃ〜まぁ〜」
ガリガリと、口の中の飴玉をかみ砕き、そう声を上げた赤毛の青年。


その青年は、団長という発音以外の発音が、まともに、出来ていない。

彼の名は、パース。


『ヒュプノス』に、多数居る戦闘狂いの中でも、一二を争う程の気狂い。


「暇か?」
「うぅ〜…」
パースは唸りながら、ブラックの手を取り、自分の頭の上に乗せた。


これは、撫でてという明確な意思表示。


戦う事以外では、まるで、赤ん坊と同じで、パースには、何かをただ堪える事が出来ない。


(これは、少し…まずいな…)

パースの頭を撫でながら、ブラックは思った。

パースが、こうなった以上、他の気狂い達も、少なからず、精神状態が、不安定になってきているだろう。

もし、彼等が一旦、己の本能の赴くまま暴れた場合、団長であるブラックでも、簡単には止められない。



普段、彼等が素直に言う事を聞く相手は、ブラックだけ。


だが、本能のままに生きる彼等を従わせるという事は、同時に彼等の欲を常に満たなければならないという事を意味している。


(このまま…無為に、時間を過ごせば、パースに限界が来る…か)

もし、このまま限界に達したら、パース達は誰彼構わずに、襲うだろう。

例え相手が、ブラックであろうとも、その状態の彼等には、敵も味方も関係ない。


ただ相手が強ければ強いほど、更に正気を失ってゆく、己の餓えを満たす為だけに、戦いを続けるだろう。




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