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小説「召喚と召還の結末」
2
リーアと呼ばれたポニーテールの女性は。
「いえ、この国の連中の中に、この期に及んで、まだ渋っている馬鹿が居るらしく、今だ…保留です」
と、苛立ちを含んだ声音で、答えた。

「そうか…」
リーアの答えに、男は、内心。
(この国に、巣くう病魔は時間が経っても、消えなかったか)
と、考えた。



「団長。我等が、此処に来た事は、無駄足に、終わるのでしょうか?」
「それは分からん。だが…サザーランの王は、賢王と名高い男と聞く…このまま、民が無為に殺されるのを選ぶ筈はないだろうさ」


(俺が知るあいつなら…見捨てはしない筈……だが…俺と同じく、変わっていたなら、あいつは見捨てるのだろうか……)










ただでさえ、頭の痛い問題が山積する中、新たな問題に議会は紛糾していた。

ある日。

突然、この国に現れた謎の傭兵団。


最初、ついに敵側の傭兵団が攻めてきたのかと、議場に居る皆の顔は青ざめた。


敵ならば、早過ぎる。

皆、そう思った。



しかし、よく見れば、どうやら敵ではない様子。
掲げられる筈の敵国の国旗が掲げられていないのだ。


ならば、あの集団は何なのだ?と、皆がパニックに陥る寸前、謎の傭兵団から、一人の使者が城へとやってきた。


王達の前に現れたその使者は、女の様に、ほっそりとした体つきと、美しい顔立ちをしていた。

だが、その使者の身のこなしは、見るものが見れば一発で、強者と分かる身のこなしであった。


自然と、王を警護する者達に、緊張が走った。



傭兵団からの使者は。

「我が名は、カリス・ディー。傭兵団『ヒュプノス』の使者として、参りました」
と、名乗った。

瞬間、辺りがざわつく。


しかし、すぐさま王が、視線で場を納めた。



辺りが静まると、使者であるカリスは。

「我が主にして、『ヒュプノス』団長ブラックよりの言葉を皆々様に、お伝え致します。我がヒュプノスは、サザーラン王国に対して、契約を申し入れたい」
と、言った。


その言葉に、今度は辺りに騒然とした空気が流れる。


契約。

それも、傭兵団との契約。


ー武力の契約ー


今、この国に圧倒的に足りないのは、間違いなく武力。


この大陸で、傭兵団『ヒュプノス』の名を知らぬ者は居ない。



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あきゅろす。
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