小説 猛暑 今日も今日とて、愛する恭弥に会いに、遥々と並盛に来ました。 の、ですが…… 「大丈夫ですか?」 「ウルサイダマレカミコロサレタイノ。」 「何なんですか、その片仮名の羅列は。聞き取りづらいじゃないですか。」 応接室に入ると恭弥が死にかけてました。 今日の気温は確か、最高で32度 でしたっけ。 いわゆる猛暑日だとか。 溶けかけの恭弥は、無言で団扇を差し出してます。 「扇げばいいんですね?」 「う…n…」 大変です。 おかしな返事をしています。 『ん』がちゃんと言えてません。 「どうですか?」 「ん、だいぶ…。」 しばらく扇いでいると、恭弥の表情が楽になってきました。 「そんなに暑いなら、どうしてクーラーを点けないんですか?」 今は恭弥の専用部屋のようになってるが、ここは応接室です。 僕の視界には、さっきからずっとクーラーが映ってます。 「壊れてるんですか?」 「…クーラーは夏冷えするらしいから。この前テレビでやってたんだ。」 「………」 なんて中途半端な情報でしょう。 「28度程に設定すれば、大丈夫ですよ。」 「そうなの?」 「100%ではありませんが。」 聞くや否や、リモコンを手にした恭弥はクーラーのスイッチを入れました。 「というか、君が夏冷えなんかするような人ですか。」 「だってテレビで…」 「現代っ子ですか!?」 後日、僕が扇風機を購入。 (これならクーラーのような心配は無用なので、安心して使えますよ。) (扇風機って脱水症状になるってテレビで…) (水分採って!扇風機を首ふりに!!) [*前へ][次へ#] [戻る] |