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小説
我が君の悲劇(ムクスレツナ)
「ところでさ、俺思うんだけど…」

珍しく黒曜に遊びにきた綱吉君は、徐に口を開いた。

「どうにかしてあの、実は可愛い小動物が大好きなツンデレ蜜柑頭を消す方法はないものかな…?」
「…何かあったんですか?」

そう聞かずにはいられない、ドス黒いオーラが綱吉君の身体から吹き出す。

哀愁漂うその表情にミスマッチで、実に畏怖の念を感じます。

「聞いてくれるの?」
「もちろん。貴方の気が済むまで。」

じゃないと、ほら。
貴方の機嫌が悪いから、千種や犬が怯えています。

「実はさ、今日ここに来る前の出来事なんだけどね。」

綱吉君はそこで一度、大きく息を吸った。

「俺が帰ろうとして玄関にいたら蜜柑頭が来て『やぁ、綱吉。今日こそは僕の告白の返事、聞かせなよ。』って言うから『何度も言ってるはずですよ。俺にそっちの趣味はありません。』って返したんだ。そしたら『いいのかい?君を盗撮した写真で作った、Q禁コラージュ画像を校内、いや、並盛中に回覧版で回すよ。』って言うんだよ!盗撮だけでも犯罪行為なのに人の写真で何してくれてんだ、あの腐れ蜜柑!!!!」

ほぼノンブレスで語った、綱吉君。

雲雀君、君は一体なにをしているんですか…

「何とかして消す方法ない?このままじゃ気持ち悪いし怖いし、夜も眠れないよ!!」
「この間、アルコバレーノから貰った違法武器はどうしたんですか?」

確か、嬉々として見せびらかしに来ていたはず。

「あー、あの改造スタンガンのこと?ぜんっっぜん効果なかった。むしろ『僕は君に出逢った時の衝撃を思い出したよ。』って喜ばれた。」

彼に神経は通っているのでしょうか?

実験台にされた僕は花畑を見て、三途の川を半分渡って来たんですがね。

「あの闇医者から、何か薬品を注文してはどうですか?」
「シャマルから?」

綱吉君は弱々しく首を振る。

「もう試したのですか?」
「うん。『こんな毒を盛らなくても僕はもう君と言う名の毒に侵され、恋の病にかかっているよ。』だって。象でも3秒あれば即死だって聞いてたのに!!」
「………」

彼はそもそも人間でしたっけ?

「なら、鉄拳制裁で確実に息の根を止めるのはいかがです?触りたくもないでしょうが、1番信用できる方法だと思いますよ。」
「…んー、確かにねー。いくら丈夫でも、首が逝ったら死ぬか…。それなら我慢する価値もある…かな。」

クフ。
自分の言葉には、責任を持たなくてはいけませんね。
僕の発言次第では雲雀君、酷く惨い目に遭ってしまいます。

よく考えたら、鉄拳制裁が一番残酷なことに気づきましたよ。

まぁ、今更…ですかね。

綱吉君は、しばらく考えた後、満面の笑顔を僕に向けた。

「うん。薬とか武器よりも確実性もあるし、日頃のストレスもぶちまけれるし、丁度いいかも!!」

なんて可愛らしい笑顔。

「じゃあ早速行ってくる!ありがとう骸!!」
「いえいえ。行ってらっしゃい、綱吉君。」

楽しげに走り去っていく綱吉君。

雲雀君、ご愁傷様です。



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あきゅろす。
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