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小説
堕ちた大空(ムクツナ)
※死ネタ






深い深い森の中。
静かに生い茂る草花に囲まれた場所に僕の標的はいた。

「貴方は最期まで甘い男でしたね綱吉君……」

上質な黒塗りの棺桶。
その中には柔らかな花が敷かれ、安らかな眠りにつく彼を抱きしめていた。

革の手袋を外し、その頬を撫でる。

既に温もりは失われていて、彼には似つかわしくない冷たさが僕の手に伝わった。

「どうしてくれるんです?」

そのまま頬から上に指を滑らせると、生気がないにも関わらずふわふわとした質感を保っている、栗色の髪の毛が僕の手を包んだ。

「貴方が死んだおかげで計画が全て水の泡ですよ」

そっと髪を撫でながら僕は言った。
もちろん彼の唇は動かない。

「聞いてるんですか?綱吉く……」

鼻の奥が急にツンとし、言葉に詰まる。
彼の顔がどんどんぼやけていく。

僕はそれを地に落とさぬように、目を手で覆って空を仰いだ。

「……仕方ありませんね。貴方の身体はもう使えませんし……僕自身の手で――」

指の隙間から日差しが射した。
空は苛つくほどに澄み渡る青。

「この世界を純粋で美しい血の海に変えて差し上げましょう」





貴方の命を奪ったマフィアが憎い

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