Honey Flower(本編+SS)
5
私たちも、いつまでここでこうしていられるだろう……?
「影って寒くなってきた。早く中に入って、次はこれを飲もう」
こくりと頷いて、石段に立ち上がる。
芥の手が私の肩掛けを引きあげ、そのあと肩を抱いてくれた。
暖かで広いその腕に、一瞬湧き上がった小さな泡のような不安は、すぐに溶かされて消えていく。
──お願いだ。愛されてくれ。
満たされる。
泡が立ち上る暇もなく。
ただ、そばにいてほしい。
たったそれだけの、だけど壮大すぎる望みが叶った。
失ったものよりも、それは遥かに私を満たしてくれている。
【in Syrup 了】
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