Honey Flower(本編+SS)
5
俺は月下香の、桜色に染まった、蜜に濡れた腿に触れながら、うんと返した。
「『晃』。ほら、ちゃんとお願いしてごらん? 止めてしまうよ?」
月下香はぶるっと震えてから、唾液に光る唇を開いた。
「晃」
名前を口にした途端、びくんと月下香が揺れた。
目が、一瞬止まってしまったように見えて、こっちが驚いた。
名前を呼ばせる。
都真の助手ソウが、『最後の入力』だと、説明した。
月下香の目がまた元のとろんと力の抜けた状態に戻って、ほっと胸をなでおろした。
どうやら正常に作動しているようだ。
「や…熱い…どきどきする…晃、助けて…お願い…もっと、触って…」
いいよ、と口づける。
俺の名前を言った、この唇が愛おしい。
指先を使って、月下香の蜜に触れる。
掬い取って、あやすように撫でてやる。
それだけで、月下香は甘い声が零した。
嫌がるだろうと思いながらも、月下香をベッドに這わせた。
膝を立てて、腰を上げさせる。
「や…こんな…恥ずかしい…」
腰に手を添えて、蜜が伝う腿を舐めた。
口の中に甘味が広がる。
想像通りの甘味に、驚く。
濃い花の香りが、頭をくらくらさせてくる。
「すごい。ここも、綺麗なピンク色…」
蜜を溢れさせる口を、指先で開いた。
「ふぇ…」
泣き声にも似た声が、月下香の口から漏れた。
もう、柔らかくほぐれたそこは、指の侵入を悦んでいるように見える。
中が、溶けてまとわりついてくるのがたまらない。
月下香は目を細めて、自分の指を吸っている。
とろんとした目を見ながら、自分の下衣を解いた。
うなじから背中に、舌を這わすと、きゅっと目を瞑って見せた。
「可愛い月下香…。そのまま、力を抜いてて…」
蜜で濡れそぼった口に、先を当てがうだけで、どうにかなりそうだった。
小さな口を広げて、中へ入り込んでいく。
緑の目が慌てたように見開いた。
「あ! アキ…ああっ…や!」
細い腰が逃げようとするのを、がしっと掴んでそのまま引いた。
ぎゅっと中が締まる。
「やぁっ!」
鼻にかかった声が、唾液を伝わせて泣いている。
耳に入り込んで、頭を狂わせる。
「あっ…ふ…くぅ…ん…アキ…」
息をするのも辛そうな顔をして、切れ切れの台詞は俺の名前。
ぎゅっと瞑った目から涙が零れている。
「は…晃…アキ…」
生体ドールであることを忘れるほど、生身同様の体。
俺はタガが外れたかのように、腰を入れていた。
過去に失った、恋人だった少年の名が脳裏に浮かんで、そして消えて行った。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!