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聖王の御手のうち(本編+SS/完結)
5
「汐も欲しがってる」

「違……… ……っ…あ……」

 体に熱が灯っていく。
“みんな”に愛撫された夜を待てなくて、昼間に持て余した体みたいに。
 疼いてくる官能が、首をもたげ求めはじめる。

「……は……」

「ここ、好き? 立ち上がって、赤くなってきた」

「うそ……もう、やめて、離して……」

 指をくわえて、噛みしめる。
 歯に挟まれて、小さく盛り上がった肉を、舌で撫でて慰めた。

 胸元から広がるぴりぴりした感覚が、じわりと染みみたいに広がっていく。

「精にまみれた汐を抱きしめて、あの時は汐と繋がりたいなんて、考えが及ばなかった」

 下衣を片脚だけ抜き取られて、素になった脚を膝で折り曲げられた。
 ソファが直接触れる腰がひんやりする。
 なのに、体の内側が熱くて仕方ない。

「あか……」

 指が張りつめた熱に触れた。
 少しずつ白濁をこぼす口に指の腹と爪先を、交互にこすりつけてくる。

“みんな”がいる時、明石は決して僕に触れなかった。
 僕は怖かったし、唯一親しい友達である明石に助けを求めた。

(助けを……?)

 ぐしゅ、と明石の唇が水音を鳴らした。
 とろけた舌先と同じ熱と口腔に包まれて、僕自身まで溶けそうな感覚に陥っていた。

 良くて良くてたまらない。
 明石の柔らかい口の中で、どんどん水位が上がっていくのがわかる。

 僕が求めていたのは、本当に明石の“助け”だったのだろうか。
 いや、知っているはずだ。
“みんな”に愛撫されながら、その手を、舌を、貫く肉を、明石のそれだと思おうとしていたことを――

(堕ちていたんだ、最初から)

 上下に擦る指と吸い上げる口腔が、限界へと追いつめてくる。
 明石の髪を掻き抱いて、その上に涙粒をこぼしていく。

「あ、あか……あかしっ……出……っ……――離し……」

 手と口に包まれて、一線を超えてしまった白濁が、脚とソファを濡らした。

「明石……もう……」

 顎にも僕のものをしたたらせる明石は、白濁と唾液とが綯い交ぜになったものを、指先で後ろに運んだ。

「大丈夫、たくさん……出たから。濡らせるよ……」

 力が抜けた体は、敏感になっていて、明石の指の動きを追っていってしまう。

 折られた膝をぐいと押されて、僕の最奥が空気に触れた。
 多分、この暗がりじゃ、見えていないと思うけど。

(どんな顔してれば……)

“みんな”を明石の代わりにしていた自分を思うと、顔から火が出そうだった。
 今の痴態を考えても、逃げ出したくなる。

 外で、雨粒が屋根を叩く小さな音がし始めた。

(雨、降ってきたんだ……)

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あきゅろす。
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