きらきら(本編/一旦完結) 2 そりゃ銭湯だって温泉だって、裸になって好きで入ってくけど。 それと今は全然事情が違う。 「ナルは、まだ俺を好きじゃない? 全部見せることは、できない?」 タクはスポンジにボディソープをつけて、くしゅくしゅと握って泡立てながら、俺の目を見つめた。 「俺、始めに好きになるまで待つって言った。 ナルは、少しは俺のことを好きになってくれてる?」 それは、愚問だ。 俺は幼稚園のころからタクが好きで。 ずっと一緒にいられるなら、一番の宝物を捧げて“けっこん”するほどに。 引越てった時は、知恵熱を出すほど悲しかった。 (じゃあ、今の嵯峨拓人のことは?) 心の中で自問する。 幼稚園の時とはまるで違う容姿で…かっこ良くて。 毎日告白しろと言ったら、真面目に毎日通ってきたりして。 ピアノなんか弾いて。 河本から、助けてくれて。 視界にいないと、なんだか気になって仕方なくて。 俺はいつも、タクを探している。 「……」 「ナル?」 「…きだよ、…多分」 コンタクトの黒い目が瞬く。 いたたまれない。 びしょぬれのパンツ1枚で、好きだの嫌いだのって。 (最悪。いったい何やってんの、俺は!!) それなのに、さっきと打って変わったテンションの高さで、タクはシャワーの蛇口を手にかけた。 「今、『好きだよ』って言った? シャワーでよく聞こえなかった。待って、シャワー止めるから――」 「〜〜〜〜!! 多分だよ、たぶん! もういいだろ、自分で洗うからスポンジ貸して、出てけよっ!!」 スポンジを手にしたまま、タクはほとんど裸の俺の肩を抱いた。 首筋から頬に唇を寄せて。 唇に重なる。 「タ…、ん… …」 「嬉しい」 くすぐったい。 柔らかな唇の隙間から、熱を持った舌先が顔をだして。 唇の隙間に入りこもうとして、迷うように小さく動いていて。 唇が、少しだけ離れた。 「ナル、口…」 「…え…」 「口、開けられる? 舌、入れたいから」 唇のすきまから、ピンクに光る舌をちろっと見せる。 「し、舌…?」 問い返した一瞬を逃さず、タクが再び唇を合わせた。 さっき見た舌が、口の中に入りこんでくる。 歯列をなぞり、肉壁を撫でるタクの舌は熱くて。 [*前へ][次へ#] [戻る] |