龍のシカバネ、それに月
1
下腹が、熱い。
「っふ……ん…っ…」
鼻にかかった自分の声が聞こえるのが嫌で、唇に手の甲を押さえつけた。
下腹が熱くて熱くて。
(溶けて、頭おかしくなりそうっ……)
間接照明のうっすらとした光の中、じゅくじゅくと水音が響いている。
一組だけ敷かれた布団に仰向けに寝て、開いた脚の奥を青鷹さんに晒している。
浴衣はとうにはだけて、帯のあたりにかろうじて引っ掛かっているだけだ。
「優月、見てごらん」
昼間より数段低い声で話しかけてくる青鷹さんは、夜の間だけ別の人みたい。
声を聞いているだけで、背筋がぞくぞくと粟立ってしまう。
頭の下の枕を引いて、涙のたまった目を下腹へ向けた。
そこに、いつもの透明の液を垂らされた僕の性器が反応していた。
触れられてもいないのに勃ちあがって、薄桃色の先から、細く糸のように白濁をこぼしている。
「……嫌。見たく、ない、です……」
「どうして? こんなに健気に反応しているのに」
くちゅん、と青鷹さんの指が沈むと、反動に弱々しく揺れる。
揺れた糸が、ふわりと何かを描いて腹へとこぼれていく。
「っう、…ん…」
「中を触ると『痛い』としか言わなかったのに、可愛く反応しだしてる」
始めは痛いだけだった指南が、最近は変わってきていた。
青鷹さんの指が、後孔のすぼまりに触れるだけで、このあともたらされる快感が、頭で忠実に想像できるようになってしまった。
中に入った青鷹さんの指に、どの辺りをこすってほしいとか如実に想像できてしまって、期待してしまう。
内壁を撫でられて、甘い快感が欲しくて、もっともっとと腰がゆれてねだってしまう。
「んんっ……指が…気持ち――」
気持ち良い、なんて。
(恥ずかしいこと言いそうになってるっ……!)
慌てて口許に手の甲を押し戻す。口が開いてると、信じられない台詞をこぼしそうになってしまう。
「ひざ、閉じないで」
片膝を内側から押し開いて、立ち上がって溢している性器も、その奥で水音を立てる最奥もすべてを青鷹さんの目にさらしている。
動き出した指が少し曲げられて、僕の敏感な場所を探し当てる。
「…ひっ、ぅ…」
手の甲の隙間から、すすり泣いているみたいな変な声がこぼれてしまう。
恥ずかしくてたまらない。
何より、こんなところを触られて身震いするほど快感を得てしまう、自分の体が恥ずかしい。
枕の下に手を入れて、中をかき混ぜられて生まれる熱っぽい感覚がじわじわと広がるのを堪えた。
「我慢するな。声をあげても良いし、快感に貪欲になって良い」
「っあ、あ、やっ…そこっ…」
探し当てられた敏感な場所を執拗に捏ねられて、腰がびくっと跳ねた。
頭が枕から浮いて、青鷹さんの浴衣の袖にしがみついてしまった。
口許を青鷹さんの胸のに押しつけて、声を殺しながら荒い息を吐いた。
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