龍のシカバネ、それに月
1
何日目かの、朝が来る。
「む……ぅ……」
くすぐったい。
多分先に起きた起きた青鷹さんが、僕の額から髪を撫でている。
嫌だ。
まだ眠い。
触って来ないで。
「……や、もー……」
青鷹さんの手を逃れて、ぷいと寝返りを打つ。
だって、眠い。
昨日の晩だって、まともに寝かせてくれなかったのに。
休日の今日くらい、ゆっくり寝かせて欲しい。
それでも大きな手が追いかけてきて、頬を捕まえてキスをくれる。
やっぱりくすぐったい。
「んーん……」
眉根を寄せて『眠りたい主張』をするのに、青鷹さんは全然見ていない。
いや、見てて無視しているのか?
頬に触れていた唇はやがて、体を降りて行って。
寝間着の胸元をくつろげて、その先に舌を這わせる。
「んっ……う……」
嫌だ。
起きない。
どんなことをされても起きない。
そんな覚悟でいるのに、ざらりと長い龍の舌は、巧みにその熱を操って、僕の体を起こしにかかるのだ。
涙の浮かんだ目元はまだ熱い。
無理矢理起こされたまぶたは重くて、ぼんやりとした視界にまだ明け方の、やわらかな
薄闇が見える。
その中心で、僕の顔を覗き込んで、嬉しそうな顔をしている青鷹さん。
「起きた? 優月」
「…………」
『起きた?』も何も。
大好きな人に全力でこんな起こし方をされたら、誰だって夢の淵から帰ってきてしまうだろう。
それでもまぶたを閉じようとすると、脚と脚の隙間から下着に指がもぐり込んできた。 さすがに、そこはだめだ。
「やっ、も、起きます。起きますからっ……。……んむっ……」
半身を起こすと同時に唇を重ねられる。
とろけた舌が舌を撫でてきて。
僕はどうしたら、青鷹さんに許してもらえるのかな、なんて。
(なんて、幸せな悩みなんだろう)
体内にもぐり込んでくる指から甘い刺激を受けて、そこをしとどに濡らしながら、鼻にかかった声を上げる。
目元にたまった喜悦の涙は、青鷹さんがすぐに舐め取ってしまう。
それでもまた浮かんでしまう涙粒を、僕はどうしようもなくて。
いつまでもいつまでも、指で緩い刺激をくれ続ける青鷹さんに目を合わせた。
「お、ねが……もう……」
それ以上はどう言って良いかわからない。
仰向けに倒されて、両膝に熱のこもった手のひらが乗る。
開かれて柔らかく潤んだ場所から指が抜かれて、ぼんやりする視界の中、青鷹さんはその指を舐めた。
「ぐしょぐしょ。前も、後ろも」
小さく笑う青鷹さんに、どんな顔をして良いかわからず、そっぽを向いている間に、ぐ
いと腰を入れられた。
「ひゃ、うっ……っ!……」
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