龍のシカバネ、それに月
2
いつも言うことは同じだ。
配置先がどこになるかなんて、わからないのに。
今しかないのに。
一度乱されると凪の心なんてどこかへ消えてしまって、青鷹さんにすがりついてしまう。
(青鷹さんの目的はわかっているけど)
青鷹さんは、『東の頭領』になった。
頭領になった青鷹さんは東龍の中で唯一、匣を『匣姫の体』にできる秘薬の場所を知ることになった。
僕もそのありかを知らない。
唇に秘薬を仕込んで僕にキスをくれる。
指先に力を溜めて、僕の下腹に流し『匣姫の体』を作る。
(青鷹さんは、配置先がどこになろうと、僕の『匣姫の体』を作ったのは東だということにしたいんだろうか)
僕にはそんなこと、正直どうでも良かった。
そんなことより僕は、青鷹さんと繋がりを持ちたかった。
誰かの匣姫になったら、青鷹さんと一つに抱きあえることなんてもうない。
だから。
(今のうちに最後までして欲しいなんて、僕から言うのは違う……のかな……)
でも今しかないのに。
そんなことをぐるぐると考えて、何が凪の心だろう。
自分で触れるとそこに、裂目ができているのがわかった。
濡れたように指が滑るのは、白濁を溢したからだろうか。
怖くなって、すぐに触るのをやめようとした。
糸を引いて離れる指を、青鷹さんが捕らえた。
「?……青鷹さ……なに……」
「もっと、触ってみて」
「っ……」
青鷹さんに導かれて、新しくできつつあるもう1つの“口”に指先を戻されていく。
僕が、自分で触れていたことも見ていたんだと思うと、羞恥で顔に熱が上った。
「や、です……恥ず……」
だってどう思えば良いのかわからない。
自分の体に女性器がついていて、それを男である自分で触るなんて。
指先が、くちゅ、と儚い音を立てて、できたばかりの裂け目に触れる。
深さはまだない。
指先が、ほんの少し隠れる程度の凹みが、ぬるぬると濡れているのがわかる。
青鷹さんに動かされるまま指先が撫でると、浅い凹みが嬉しそうに愛液をこぼした。
こぷり、と、自らが生み出しているのがわかってしまう。
「や、もう……お願い、やですっ……」
「どうして? せっかく作ったのに」
青鷹さんが僕の膝を割って、内腿に軽い口づけをくれる。
それから、龍の舌がざらりと裂目に触れた。
「っひ……、ぁ……」
愛液をずる、と引っ張るようにして、それごと裂目を愛撫する舌先。
片方の手で裂目を開いて、できつつある性器を愛してくれる。
それがたまらなく恥ずかしくて、両手で顔を覆ってしまった。
「見な……いで……」
「……一生懸命匣姫になっていくここが、俺は愛しくてたまらないけどな……」
凹みが一番深い場所に執拗に愛撫されると、変な気持ちになる。
あるはずのない裂目の奥が、収縮して、下腹がきゅんと引っ張られるような。
白濁を吐き出したばかりの前も頭をもたげてきて、青鷹さんはその先に滲む白を舐めて、そのまま口に含んだ。
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