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龍のシカバネ、それに月
3

 仕方ない、こんなにあちこち触られて……それも、大好きな青鷹さんに触れられたら、匂いのコントロールなんてできなくなるに決まってる。
 口をふちどる細かな皺を撫でた後、指先はそのまま、小さめの双丘に触れた。
 脱がされた後、溢れていた白濁に濡らされて、どんな状態になっているのかは自分でもわからない。

「灰爾に、ここ触れさせた?」

 脚の間に舌を這わせながら、青鷹さんはこともなげに言った。

「はい、じ、さん?」

 どきっと、胸が痛む。
 青鷹さんの言う場所は――

――俺が、優月ちゃんを『匣姫の体』にしてあげようか……?

 そう言われた後、口の中に舌を這わされながら、何か粒を飲まされた。
 送り込まれた唾液と、粒をかろうじて飲み込んでいると、ベルトを外されていた。
 抵抗は、した……けど。

「『匣姫の体』のこと、月哉さまのこと、知りたくないの?」

 ……知りたい、知りたいけど、こんなのは……。

「好き。好きだよ、優月ちゃん」

 呪文のような灰爾さんの囁きと、光を帯びた西龍の指先。
 光る指が下腹を撫で、怖くて無反応な前を過ぎて。
 今、ちょうど青鷹さんが触れている場所に、龍の力を流しこまれた。
 小さな電流のような後、じわりとした快楽の熱が広がって。
 反応していなかったはずの場所から、滲ませるようにして、精を放った。

「は…はぁ、ふ…っ、今の…」

 もう少し繰り返しが必要だけどね、と灰爾さんは言った。

「お…、教えて下さい。父さんが好きだった人のことを…」

 灰爾さんは笑って、乾いた血のついた人差し指を唇の前に立てた。

「まだだよ。優月ちゃんが完全に『匣姫の体』になるにはもう少し時間がかかる。できあがったら教えてあげる……」

「そんな、教えてくれるって……」

 嘘は言ってないよね? 
 残滓をピンク色の舌で撫でて、灰爾さんは小さな声で言った。
 …………。

 西の秘薬の匂いがする。
 青鷹さんは痛いほど吸った皮膚から唇を離して、僕を見つめてきた。

「あ、あの……」

「優月は、灰爾でも良いの?」

「違っ…」

「灰爾に『匣姫の体』にしてもらうのか?」

『匣姫の体』どうしてそれを!?
 青鷹さんはゆっくりと体を起こして、ベッドから立ち上がった。

「青鷹さん、どこに…行くんですか…」

 慌てて僕も、脱がされたパジャマを引き寄せた。
 背中を向ける青鷹さんが怖くて、手がうまく動かない。

「『匣姫の体』は匣宮であらかじめ作っておくか、または四龍にそれぞれ伝わる丸薬と配置先になった龍の力を使って作る。
 匣宮であらかじめ作られた匣姫はともかく、そうでない匣姫は、託占で行き先が決まってからということになる」

「し……知らなくて、僕……」

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あきゅろす。
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