龍のシカバネ、それに月
2
青鷹さんが天井を見上げて、ぼんやりと視線を揺らしている間に、僕は高まってしまった息と熱を抑えこもうとした。
このまま匂いをふりまき続けたら、青鷹さんがどうなるかわからない。
(本当は、そうやってでもしてもらって、既成事実を青鷹さんが飲んでくれたら良いのに、なんて)
そうやって、青鷹さんの匣になろうという不埒な考えも湧いていることを、青鷹さんに知られたくない。
青鷹さんはルールを大切に思っている。
僕も、青鷹さんが大切に思っているものは守りたいと思う。
まだ天井を見上げている青鷹さんが自分の唇に指で触れながら「優月」と僕を呼んだ。
「は、はい」
「おまえさ……」
仰向けだった体を僕の背中にぴたりとくっつけて。
後ろから回した腕が、パジャマの前を探り出した。
「っ!? ちょっ、何っ……」
「じっとして」
「だめです、そこは」
まだ落ちついてないのにっ…!
する、と入り込まれたパジャマのズボンの上から、かろうじて青鷹さんの手首を捕まえた。
捕まえたのに、大きな手の指先はとうに下着越しの僕の前に届いていて。
柔らかな指先が、一枚の布ごしに爪を立てた。
「……っぁ、」
「まだ、収まってない。下着に滲ませて、熱を持ってる」
「なっ…なんでそんなこと、言うんですかっ…っ」
実際にそうでも、口に出して言葉で言われると、どうしようもなく恥ずかしい。
布地ごしに先のほうにある小さな口を、ゆるゆると撫でられて、時折爪を立ててくる。
「んんっ…!」
撫でられている間がもどかしい分、爪がくれる刺激は、ピリッと背筋を走っていくみたいで。
そのたびに、また熱を孕んでしまった僕のものは、その先に雫を浮かべて濡らしてしまう。
「〜〜〜〜っ…はる…」
「だいぶ濡れてる。脱ごうか」
「ふぇ?…ぬ、脱ぐ!?」
嫌です、と言う前に、素早く起き上がった青鷹さんは僕の脚の間に陣取り、薄いパジャマのズボンを下着ごと引き抜いてしまった。
「嫌っ…なんで…」
どうせ、最後までするわけじゃないのに。
(……して、くれるの? 僕を、匣にしてくれるつもりで? でも、託占がないとだめなんじゃ……)
慌ててパジャマの裾を引き下ろす手を押さえられて。
かたほうの脚の膝裏に手を入れて、腰を引き上げられた恥ずかしい格好を見ていられなくて、顔を背けた。
僕の、一番奥の窄まりまで見える場所で、青鷹さんは光を滲ませた指を、割広げられた口に触れさせた。
「っやです、どうしたんですか!?」
「匂いがする…」
「っ…」
匣の匂いのこと?
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