君の終焉を
3
あれから一週間。
事故の原因は自動車の運転手の居眠りによるものだと分かった。
何の罪のない由基の死。
ぶつけ所のない怒りは胸の中を渦巻くだけで…
数多いる生物の中、神はどうして彼を選んだのだろう。
どうして彼に、終焉を与えたのだろう。
これからもっと、たくさんの思い出を作るはずだったのに。
二人で幸せな人生を歩むはずだったのに。
なのに…どうして由貴を選んだ?
由貴が一体何をした?
あの日からぽかりと空いた心の穴は、塞がることを知らず。
走り去ってゆく生命の光を、見届けることしか出来なかった後悔が、その穴を更にえぐる。
かけがえのないものが消えた世界。
溢れる想いは孤独の中に溶けては広がり、波紋を描き…
「由貴……」
見上げた青空に、君が最後にくれた言葉を奏でる。
好きで、好きで、大好きで…
世界の誰よりも大切な君へ。
ねえ、由貴。
俺は君がくれた優しさも温もりも、
君の全てを忘れない。
お前をずっと想い続けるよ。
いつか必ず会いに行く。
今は離ればなれだけれど、
いつかまた、必ず巡り会えるから。
だから、それまで待っていて…
ねえ、由貴…
『大好きだよ…』
*‐end‐*
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