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始まる終わり




門を入ってからまた二十分ほど歩いたら、やっと城の入口が見えた。



「はぁ、...やっとついた」



勤務時間のギリギリだ。



勤務先に行くだけでこんなに苦戦するとは思わなかった....




と、とにかく、これから頑張らねば



これからたくさんのいろんな経験を積んで、もっともっと強くなって




アイツは....俺が守ってあげないと。





見上げるほどの立派な扉の前に立ち、細かい装飾がほどこされたドアノブを手にとった。



ガチャリ



「おかえりーーーー!!!」


「ーー?!!」

扉を開けた瞬間に、何かが飛びついてきてとっさに受身をとった。


....誰かに抱きつかれている....のか?




....銀髪が、瞳に映った。



銀髪が少しキラキラとしてピンクがかって見える。


....綺麗な髪。





「こら、やめなさい。」




眼鏡をかけた30代くらいの男性が、俺に抱きついて離れない不思議生物を、やんわりとたしなめた。



「銀、いきなり抱きついたりなんかしたら相手が驚いてしまうだろう?」




言う通り、混乱していると、首に回っていた腕の力が緩んだ。


「....はぁい。」と、名残惜しそうに腕を外した。


明らかになった顔は、中性的でぱっと見、男か女かわからない。


多分、男だろう。


胸、ないし....



男だと思われる不思議生物は、俺の視線に気づき、「銀です!男の子だよ!」と名乗った。

人懐こそうな笑顔に魅せられて、警戒心がほぐれる。


「いいこだね、銀」


男性は、銀という不思議生物の頭をポンポンと撫でてから、俺と目を合わせた。




「ようこそ、第零番隊中央本部へ。これからよろしくね」






男性は、柔らかい笑顔を浮かべて、手を差し出してきた。



「....本日から零番隊に配属されることになりました。レン「ストップ。」




自分の名前を言い終える前に、柔らかいテノールの声が俺の口が動くのをとめた。






「君の名前は、今日から紅蓮だよ」






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あきゅろす。
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