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始まる終わり

鍛錬場を出たのは、もう10時になるくらいの時間だった。

結局、朝の軽い運動にはならなくて


遅い朝食はさっきの四人で、机を囲んだ。


「紫苑....そういえば、今日検診があると聞いた」

「あぁ、俺が案内しろと言われた。」

「でも、なにを検査するんだ?」

「レンレンが体も心も元気か調べてくれるんだよぉ〜」

「銀!」


真後ろには、銀がいて。

全然、気配がなかった


ぎゅう、後ろから腕を回される。


最初は抵抗していたが、3週間もたてばもう慣れた。




すると、銀からの独特な匂いが鼻をかすめる。


「銀、煙草の匂いがする」


「えっ?....さっき、ヘビースモーカーといたから煙草の匂いが移ったのかなぁ....」


「ヘビースモーカー?」

「あー....僕の専属医」

「専属医?銀、どこか悪いのか?」

「あー....ううん、最近はそんなにひどくないんだけどね、不眠症なんだ」

「不眠症?大丈夫なのか?」

不眠症とは、言葉の通り睡眠ができないという障害だ。

俺はあまり詳しくないけど....


自分の眉が、あからさまに下がるのがわかった



「あ!でもね、全然心配しなくていいの!お薬飲めば寝られるし、...夜、好きだし!」


そんな俺に向日葵のような笑顔を向けてくれる。

「そうそう。逆に銀さんが疲れてるとこ見てぇーwwwやべー、きっと白さんの百倍おもろい」

「紺くん、白りんってメンバーめずらしーいっ」

「違う。こいつが、ついてくるだけ...」

「2人が仲いいの久しぶりに見たよお。レンレンが取り持ってくれたのかなー」

「仲良くない系」

ニヤニヤしながら二人を見る銀は、こんな下心のある顔でもかわいいから驚きだ。



「あれ?...紺くん、傷増えた?」

「あー、任務でちょっとねー」

気付かれた、

そんな顔をしてごまかすように首あたりをさする。


俺は気付かなかった。


...よく、見てるんだな


俺が入れる隙間なんてないような、


深い絆をかんじた



「痛いの痛いのとんでけ!」


「子供扱いしないでください的な」


俺が入るには、きっと、まだ時間がかかる。



だって、思い知った。



白が、あんな顔するんだってこと。


いつも無表情なのに、拗ねたような顔なんて見たくなかったと思った感情は、一体なんなんだろう








「これから行くのは、医療研究所という場所だ。」

「研究所?」

「俺たち戦闘員の研究所だ。ま、裏では変な実験もやってるやらしいがな」

「え...」

「知らない方がいいこともある」


それ以上のことは、聞かなかった。


なんとなく、後戻り出来なくなる気がしたから。



もうどこにも、戻る場所なんてーーーー




ないのに、ね?





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あきゅろす。
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