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一人きりの屋上に、足音が響く。


背後で止まった足音は、


「まひる……」


千裕ではなく、雪哉センパイのもの。


朝から、いつでもかけれるように開いておいた雪哉センパイの番号を、まさかこんなことで使うことになるなんて。


「どうした?」


雪哉センパイのほうを向くと、急いで来たのか、めずらしく髪が乱れていた。


「よく、わかんないんです」


未だにハッキリしない頭でさっきのことを思い出す。


好きって言われて幸せで


だけど瑞穂ちゃんがケガしたって聞いて、千裕は私を置いて瑞穂ちゃんの元に走っていった。


「朝瑞穂ちゃんが言ってたことって、こういうことやったんかなって思って……」


こんなことで呼び出してごめんなさい、って言うと雪哉センパイは困ったように顔を歪ませた。


「こんなこととか言うな。お前が傷ついてるだけで、大事件だろ」


雪哉センパイはゆっくり、私のほうに歩いてくる。


「まひる」


「……っ」


「お前を、生徒会に入れた理由、聞いてきたよな?」


確かに聞いたけど、それがどうしたんやろう?


「将行が持ってた写真見て、一目ぼれした」


え……


「好きだ、まひる」


そう言って雪哉センパイは、私に触れるだけのキスをした。


逃げることもできたんだろうけど


私はなぜか、逃げることができなかったんだ……



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