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私がそわそわしているのに気づいた千裕が、「どうしたの?」って聞いてきた。
やけど……
やけど、もっとキスしたい!なんて言えんし……
どうしたら!って悶えてるところに、千裕の「あ。」という声が聞こえた。
「もしかして、足りない、とか?」
カーッて、おもしろいくらいに染まる顔。
こ、こんなんバレバレやん!
「気づかなくてごめんね?まひるちゃん」
「んっ……」
さっきとはくらべものにならないくらい、激しいキス。
千裕の舌は巧みに私の舌を絡め取って
私も、必死に千裕のキスに応える。
千裕、大好き。
「好き」って口に出して言うと、さっきよりももっともっと
千裕を好きになった気がする。
愛しくて、仕方ないよ……
「やべ、止まんねぇ」
そう言って微笑むと、また唇を重ねてくる。
幸せすぎるキスに、いやなこととか辛いこと
全部飛んでいく……
それから何度も何度もキスをして
気づいた時にはもう花火は終わっていた。
「あぁ、花火終わっちった。まぁ、幸せだしいっか。」
そう言って千裕が微笑む。
「そろそろ帰ろう。遅くなるといけねぇし。」
「うんっ」
また手を繋いで屋上を出る。
幸せを感じていた、その時。
「千裕様!」
夜の校舎に、高い声が響いた。
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