8
勢いよく飛び込みすぎて、千裕は倒れこんでしまった。
手すりにもたれる千裕の腕の中で、わんわん泣く。
そんな私の髪を撫でて、千裕は「かわい……」と呟いた。
「まひる、そんなに嬉しい?」
ブンブン首を縦に振る。
「千裕は?」
「俺も、すっげぇ嬉しい」
千裕の、抱きしめる力が強くなる。
どうしよう、幸せすぎる……
「まひる、花火見なくていいの?」
「このままがいい。」
花火見るよりも何よりも。
この腕の中はすごく幸せやから。
「ん、まぁ、離さないけどね」
「うぅ……」
キュン死にしてしまいそう……
「まひる、こっち見て?」
そう言われて反射的に千裕を見ると、近すぎて、恥ずかしくて顔を逸らそうとする。
「ダーメ。」
だけど千裕の両手にがっちり掴まれてしまい、身動きが取れなくなってしまった。
目だけは逸らそうとするけど、千裕のまっすぐな瞳に捕らえられてそれもできなくて。
「大好き」
そう言われて、ゆっくり、唇が重なった。
「二人の初めてのキス、だね」
すぐに離れた唇に、少し物足りなさを感じる。
って、私は痴女か……!
*
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!