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「もう花火始まるで!」


「あ、ほんと?」


千裕がそう言った瞬間、ヒューっと花火が打ち上げられる音があたりに響いた。


ドン、という音とともに夜空に大輪の花が咲く。


「きれい……」


「うん」


チラっと千裕を横目で見ると、綺麗な横顔が花火に照らされてさらに綺麗に見えた。


こっちを向いた千裕と、目が合う。


「ん?」


あかん、その笑顔、鼻血もの……!


「な、なんでもない!」


慌ててそう言うと、隣でクスッと笑う声が聞こえた。


「まひる」


「な、なに?」


「好きだよ」


え……?


急いで千裕を見る。


千裕はいつもみたいに優しく笑ってて。


「俺、まひるのことが好きだよ。すごく」


「う、嘘……」


だってだって、そんなこと言われても信じられへんもん!


「嘘じゃない。女の子の前で、無意識のうちに男言葉になったの、まひるが初めて。」


千裕の右手が、私の頬に触れる。


「まひるは?まひるは俺のこと、どう思ってる?」


頬を撫でられ、優しく見つめられる。


いいんかな?


この、溢れそうな想いを口にだしても。


千裕の優しい目が「いいよ」って言ってくれてる気がして


「好き……。千裕が大好き!」


そう言うと、千裕は嬉しそうに笑って両手を広げた。


「おいで」


「うわーん!」


好き好き大好き!


私は千裕の腕の中に思い切り飛び込んだ。



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