6
特に問題もなく学園祭は進み、とうとう夜になった。
あとは花火を残すのみ。
「今日はお疲れさま。あとは花火だけだから、もう仕事は終わり。解散!」
会長の言葉に、歓声があがる。
「じゃぁ、いちこさん行きましょう」
「お前はこっち。」
いちこさんのところに向かおうとした森田少年の首根っこを掴んで、会長はどこかに行ってしまった。
「まひる、行こう」
千裕が、私に手を差し出す。
私はそっと、その手に自分の手を重ねた。
「まひるとね、行きたいところがあるの」
千裕は歩きながらそう言った。
行きたいところって、どこかな……?
でも私、千裕と一緒ならどこでも幸せかも。
「花火始まっちゃうからちょっと急ぎましょう」
そう言って、千裕は早歩きで校舎の中に入っていく。
夜の校舎は誰もいなくて静かで。
前を向いてる千裕の顔も見えへんけど
繋いだ手の温もりが、私を幸せにさせてくれた。
「間に合った」
千裕は微笑んでその扉を開ける。
そこは、生徒は立ち入り禁止のはずの屋上。
「生徒会の権力で、鍵借りてきたの」
千裕はそう、いたずらに笑う。
嬉しい、かも。
屋上初めてやし
千裕と二人きりやし。
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