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「まひるは?」
「え……?」
「今の時間、楽しんでないでしょう?」
「……っ」
確かに、せっかく千裕と二人きりでいれるのに、違うことばかり考えてた。
「あたしは、まひるといれて嬉しい。楽しい。それだけじゃダメ?」
千裕はさっきより泣きそうな顔になった。
好きな人に『一緒にいれて嬉しい』って言われてるのに、私は何を悲しんでるんやろう?
「ううん、ごめん!楽しもう!」
私がそう言うと、千裕は嬉しそうに笑った。
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「あ、こんなところにお化け屋敷が!」
千裕がわざとらしく言う。
「い、いや……。私絶対入らん!」
そう言って逃げようとすると、首根っこを掴まれた。
「そんなの、許さないわ、よ?」
「ヒー!!」
今の千裕はお化けより怖いかも……
「はい、諦めてね、まひるちゃん」
「ギャー!」
千裕に引きずられるように、中に入った。
普段は教室であるはずの室内は真っ暗で。
「ヒッ!」
かすかな物音にも反応してしまう。
千裕は全然平気そう。
「あたしホラー映画大好きだしぃ」
なんて、余裕かまして笑ってる。
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