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「会長に何もされてない?」
千裕が心配そうに私の顔を覗き込む。
「大丈夫やで?」
私がそう笑うと、千裕も笑ったけどまだ心配そうだった。
実は、今日。
正門、裏門、西門
学校の3つの門を、生徒会で2人ずつに別れて警備している。
兄ちゃんと、いちこさん。
森田少年と千裕。
雪哉センパイと、私。
一応男と女をペアにしようってことになって、千裕は口調のせいで「女」ってことにされてしまった。
「まひるを守りたくても守れない」
千裕がそう言った時は、思わず叫びたくなるほど嬉しかった。
「あ、私たこ焼き食べたいなっ」
「あ、あたしも食べたい。買ってくるからちょっと待っててねっ」
こうやって、さりげなく奢れるところとかすごいと思う。
この口調じゃなかったら、どんだけモテてたかな……なんて、想像すんのも恐ろしい。
「はい、おまたせー」
「あ、ありがとう」
近くを通る人が、みんな千裕をチラ見していく。
その千裕の心の中にいるのは、誰?
「まひる?」
「……っ、なに?」
心配そうな千裕と目があった。
「なんか、まひるボーっとしてるわね。何かあった?」
眉をハの字に曲げる千裕の目には、今は私しか映ってないけど
「千裕は今、何を考えてる?」
心の中には、誰がいる?
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