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「雪哉センパイ」
「……っ」
「雪哉センパイ。」
「何回も呼ばなくていいっつうの!」
めずらしく照れる雪哉センパイが可愛かった。
「あ、そうだ」
「ん?」
「私も聞きたいことがあるんです」
「なんだ?」
「なんで私を生徒会に入れたんですか?」
だって、特に可愛いわけでもないし
特に頭がいいわけでもない。
『水野将行の妹』だけでは、どうも理由が薄っぺらい気がするんよね……
「ねぇ、センパ……っ」
何も言わない雪哉センパイが気になって目を向けると、またあの目が私を捕らえた。
「センパイ……」
「それは」
雪哉センパイの瞳が一瞬揺れた。
「それは、まひるが「まひる!」
雪哉センパイの声が遮られる。
それに、なぜか雪哉センパイは少しホッとしているように見えた。
「……千裕。」
千裕は私たちのところに走ってきた。
「まひる、休憩の時間だよね?少し一緒にまわりましょうよ」
千裕の言葉に、一瞬心が躍る。
それに気づいたのか、雪哉センパイは「休憩行っていいぞ」といつもと同じ少し冷たい声で言った。
「行こう、まひる」
「う、うん……」
私は雪哉センパイを気にしながら、千裕の後を追った。
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