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「この、人たちは……」
「学園祭で、俺とまわりたいって言ってる子たちが集まってる」
「え……」
す、すごい……
この人は、人気の規模が他とは違うんだ。
「どうやって決めるんですか?」
「いつもはクジだけど……」
会長は、私の瞳をまっすぐ見る。
「……っ」
この人の瞳は苦手。
吸い込まれ、そうになるから。
「まひる」
「……はい」
「今年は、……」
「会長…」
「お前と…「まひる!」
会長の言葉を遮って、聞こえた声は
「千裕……」
私の動かない頭をまた動かした。
「ここで何してるの?こんなところにトイレはないわよ」
「う、うん……」
「探しに来てよかった。心配だったの」
なんで、そんな嬉しいこと言うかなぁ。
私のこと意識してくれてる、って思っちゃうよ……
そこで、ふと意識を会長に戻す。
「会長、何か言いかけました?」
私が聞くと、会長はわずかに首を横に振った。
「何でもない。気にするな」
そう言って、教室に入っていった。
「戻ろう」
千裕の優しい声に促されて、歩き出す。
後ろでは、女の子がキャーキャー言う声が響いていた。
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