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「ほらね、早くしないと取られちゃうわ」


そう言っていちこさんは意地悪に笑った。


ソワソワしていると、千裕はすぐに戻ってきた。


「千裕さん、学園祭誘われたんですか?」


森田少年、ナイス!


「えぇ、まぁね」


や、やっぱり……


「で、どうしたんですか?」


「もちろん、断ったわ」


ホッ、としたのも束の間。


「え、なんでですか?」


「だってもう、決まってるの。一緒に過ごす人」


ズキン、って胸が痛くなる。


あぁ、そうなんや。


千裕にはもう相手が……


瑞穂ちゃんかな……?


私はフラフラしながら立ち上がった。


「まひる、どこ行くんや?」


「トイレ……」


兄ちゃんの問いに答えると、私は生徒会室を出た。



************


トイレどこやっけ……


あぁ、もうあかん。


何も考えられへん……


その時。


「まひる?」


パッと前を見ると、空き教室のドアのところに会長がいた。


「こんなところで何してるんだ?」


「私は、トイレに…。会長は…」


と言ったところで、口を閉じる。


会長のいる教室は、女の子でいっぱいだったから。



*

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あきゅろす。
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