5
「じゃぁね」
「うん、また明日」
2人が玄関を出ると、千裕は私の頭を撫でて微笑んだ。
「……〜っ」
もうあかん。
この人は私の心臓を壊すためにいるんや。
そう考えんと、心臓がこんなにドキドキする理由がわからん。
「まひる〜、まひるちゃーん」
「………」
「なぁ、まひる〜」
「……っ、な、なにっ?」
無視すんなよぉ、って頬を膨らましてる兄ちゃんに「キモイ」と言ってリビングへ戻る。
「まひるー、なんか飲むか?兄ちゃん作ってあげる」
「ん、じゃぁ、ココアが飲みたいな」
「りょーかいっ」
風のように素早くキッチンに消える兄ちゃんに苦笑いして、思う。
そういえば兄ちゃんも、1年の時から会長を知ってるし、私よりも千裕のこと知ってるんやんね?
聞いて、みようかな。
でも兄ちゃん妬きそうやしなぁ……
その時。
「まひるー、ココアだよー」
デレデレ顔の兄ちゃんに、キモイって言いかけたのを呑み込んで、
「ありがと」
と言うと、兄ちゃんは嬉しそうに笑った。
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